最近、「承認欲求」の言葉を一般の人も使うようになりました。
組織論、マーケティング論でよく使われる概念ですが、もともとはマズローさんが提唱した心理学理論です。
中小企業診断士の一次試験にも出てきますが、マズローの欲求5段階説とはどのようなものなのでしょうか?
また、タカラヅカにもマズローの欲求5段階説は当てはまるのか?
「人は順番に欲求を満たしたくなる」とした理論
マズローの欲求5段階説はアメリカの心理学者、アブラハム、マズロー(1908~1970)が考案しました。
下から順番に、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求とあります。
「人は低次(下)の欲求を満たされると、より高次(上)の欲求を満たそうとする」、とした理論です。
生理的欲求
生理的欲求とは、「生命を維持するための根源的な欲求」です。
食べる、排せつする、眠る、といった生命を維持するために必要な行為が当たります。
安全欲求
安全欲求とは、「安心安全な生活を求める欲求」です。
ビクビク暮らしたくない、生活から生命の危険があるストレスから解放されたい、のような欲求になります。
日本人で日本国内に住むのであれば、大方の人が生理的欲求、安全欲求を満たされていると言えます。
なので、タカラジェンヌを目指す人達は、家庭で安全欲求は最低限満たされているでしょう。
社会的欲求
社会的欲求とは、「良い組織に属して、周囲の人に求められたい、受け入れられたい欲求」です。
この次元までくると、生命維持ではなく心を満たしたい欲求になるという事です。
居場所が欲しい、一人は嫌だ、仲間が欲しい、と言った感じでしょうか。
経営でも、組織マネジメントでこの欲求をまず満たしてあげることが重要となります。
安全な場所である、自分は居ても良いのだ、といった心理的安全を満たす段階です。
タカラヅカで言えば、「宝塚音楽学校に入学して宝塚歌劇の組織に所属したい」といった組織外から中に入りたい欲求。
無事に中に入ったら入ったで、「卒業して各組に配属され、組の一員として先輩やスタッフの方に受け入れられたい」といった組織内での新たな所属先になじみたい欲求。
なじめたらなじめたで、「組のみんなに必要とされたい。」「トップスターに認められたい」などの欲求にあたると思います。
承認欲求
承認欲求とは、「他者から尊敬、承認されたい欲求」です。
自分の居場所、安心できる場所ができると、次に認められたくなる欲求が出てきます。
なので、承認欲求を満たしたい人というのは、ある意味かなり満たされた人たちと言えます。
SNSなどの登場で承認が可視化されたこともあり、承認欲求を求めやすく、また自身のなかで満たされやすくなったのかもしれません。
タカラヅカで言えば、「より認められたい」「ファンから承認されたい」「演出家の先生から承認されたい」といった欲求が、形として欲しくなることでしょうか。
序列により可視化されるタカラヅカは、より良い配役をもらえるなど、自身も周囲からもすぐにどれくらいの位置かがわかってしまいます。
その分、より承認欲求を求めたくなる環境かもしれません。
ただ、タカラジェンヌは音楽学校入学時から、厳しいルールのなかで歩んできているので、自身の欲求をださないように訓練されてそうです。
その辺りの欲求は一般人に比べわかりやすい形で表には出さないのかもしれません。
SNSも禁止ですしね。
あまり承認欲求を表に出す人は見苦しい感じがしますが、タカラジェンヌに関して言えば、内には秘めても表には出さなさそうですね。
いや、そもそもそんな姿は見たくないのがファン心理でしょうか。
自己実現欲求
自己実現欲求とは、「自分の能力を最大限に発揮し、成すべきことを成し遂げたい欲求」です。
承認欲求も満たされると、最後の欲求になります。(もう一つあるのですが、個々では割愛)
トップスターは自己実現欲求しかなさそうな感じです。
トップスターの地位につけば「自分の能力を最大限に発揮し、成すべきことを成す」ことが要求されます。
劇団も、このレベルにあった人しかトップスターには就かせないと思います。
半端ないプレッシャーと向き合いながら、組をまとめて成果を出す。
トップスターに課されたものは非常に大きく、劇団の期待、ファンの期待を一身に背負う事になるでしょう。
そのような事が求めれられる地位の人を選抜するのに、承認欲求どまりの人が選ばれるとは考えにくいです。
マズローの欲求5段階説はタカラジェンヌの成長のよう
マズローの欲求5段階説は心理学の見地から、人は低次の欲求が満たされると高次の欲求が生まれる、とされます。
タカラジェンヌも音楽学校に入学したころから徐々に成長していき、トップスターを目指す。
全ての人がトップスターを目指すわけでもなく、自己実現欲求を持てば全ての人がトップスターになれる訳でもないですが、少なくとも大役を任されたり組をまとめるポジションの人は、承認欲求どまりではないでしょう。
企業における組織運営も、メンバーの欲求がどこにあるのかを見極めながらできると、打ち手も適切なものとなります。